社会福祉法人 山梨県 障害者福祉協会

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令和3年1月1日第100号共生

発行所 社会福祉法人
山梨県障害者福祉協会
発行責任者 竹内正直
事務所 甲府市北新一丁目2-12
(山梨県福祉プラザ1階)
電話 : 055-252-0100戟@ファックス : 055-251-3344
E-mail : info@sanshoukyou.net
URL : http://www.sanshoukyou.net/
この広報紙は、一部共同募金の配分金によって発行されています。


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対談 長崎幸太郎 山梨県知事 竹内正直 本協会理事長

本年、就任3年目を迎える長崎知事と竹内理事長が、11月16日(月) 知事室にて対談。県の障害福祉施策の現状や今後の具体的な施策などを語っていただきました。

竹内
 知事さん、今日は貴重な時間をいただき感謝します
長崎
 私も、障害者福祉は大変重要な課題だと思っていましたので、今日は竹内先生から直にお話を伺え、大変光栄です。本来はこちらからお伺いしなければならないところ、恐縮です。竹内先生は、本県の障害者福祉の生き字引と言ってよいかと思います。
竹内
 私は午年で、馬齢を重ね今年90才になりました。
長崎
 いえいえ、年齢どおりには見えません。これからも是非、新しい一歩を踏み出してください。
竹内
 障害者福祉に取り組んで、既に57年が経ちました、余生がどれだけか分かりませんが、頑張りたいと思います。
長崎
 57年ですか。それはすごいですね。いろいろなご苦労もあったでしょうね。
竹内
 昔は車が無いので、自転車で走り回りました。道は埃だらけで、県庁に来るのもバスで、日に数本しかない時代でしたね。知事さんは障害者の問題に気が付かれたのは何かきっかけがあったのですか。
長崎
 私が衆議院議員の時、障害者施設をつくろうという運動を知り、そこにお邪魔してお話を聞く機会をいただきました。障害を持つお子さんのお母さんたちが熱心に勉強会をやっていたのですが、ただでさえ大変な中、多くの方々がシングルマザーで、ダブルで大変な実態を知りました。この状態を解決するのが、まさに政治の役割だと思い、それ以来、取り組んでいます。特に東部地域は大変で、例えば、弟さんの運動会で障害児のお兄さんを預けなくてはいけない時、当時は預けるところが北杜市にしかなく、北杜市までを2往復しなくてはいけない。こうした状況を知ったことが私の障害者福祉の原体験で、「これは力を入れてやらなければいけない。」と思い続けています。
障害者は可能性と戦っている人
竹内
 国際的なゴスペル歌手でスウェーデンのレーナマリアという女性シンガーがいます。彼女は生まれながらにして両腕が付け根から無く左脚が右脚の半分しかない。そういう重度の障害を持って生まれた我が子を、お母さんはどうやって育てるかと考えた時に、とにかく普通の人と同じ暮らしをしなさいと、それでなければ社会で生きてゆけない、という気合いで育てられた。娘が3歳の時に「イルカを見なさい、手足がないよ」と水泳を教えた。母の発想がすごい。


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彼女は山梨に来たことがあり、ステーキを細切れにして出された折り、彼女は料理長に「障害を持った人を見ると、気の毒だ、かわいそうだ、ということだけで終わらず、是非、一歩踏み込んで障害者に何ができるか何ができないか聞いてください。」、「障害者を弱者と思っては困る。私は残された丈夫な右脚だけで何でもしている。脚でフォークを使って食事ができる」と話されていた。日本でも岐阜県に“中村久子”という、2歳の時に、病気で両腕、両足をなくした方がいた。彼女は家計を助ける為、我が身を見世物小屋に売り、年季が明けた後は、講演や施設の慰問を行って回った。ヘレンケラーが来日した時、両腕がない彼女は、舌を使って縫う技術を身につけヘレンケラーの為に人形を作った。日比谷公会堂で行われた歓迎会では、彼女からのプレゼントを受けとったケラーは彼女を抱きしめて、「私より不幸な、そして偉大な人」と言って泣いた。障害者をかわいそうな人と見るのではなく、可能性を生かしている、可能性と戦っている人。そういう姿で見ていただきたいと考えている。
長崎
 今後、可能性と戦っている人であるとの認識を持ちながら、しっかりと皆さんを応援していきます。
農福連携の広がり
竹内
 障害者の可能性を伸ばすことでは、今山梨では、農福連携に力を入れてくださっている。これは光ですよ、希望ですよ。
長崎
 これは力を入れたいと思っていました。農福連携の商品を買うことには価値あることだと、そういう雰囲気を世の中につくっていきたいです。素敵なマーク(※注1)もつくっていただきました。その価値を買っていただくことで応援していただきたい。障害者の皆さんを仕事の仲間として、重要な従業員として位置づけていますと言ってくださる会社もあります。障害を持っていない人より高いクオリティでやっていただくこともあるようです。まさに、障害者の方の可能性を伸ばしていく、その想いでお手伝いをしてきたいと思っています。
竹内
 是非この明かりを消さないよう、進めていただくようお願いします。
長崎
 ところで、中東の方々は、ブドウの葉っぱも召し上がるそうですね。中東ではわざわざその葉を輸入している。山梨にはそれが有り余るほどある。実は、農福連携の活動の一環として、その葉を塩漬けして商品化しようと知恵を働かせている人がいるので、その取り組みを支援したいと考えています。
竹内
 そうした工夫は障害者の可能性を広げるもので、大変感謝していますし、これからも期待したいと思っています。また、手作りマスクの活動(※注2)も関係者にとって大変ありがたかったですね。


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長崎
 配布先の子供達にも喜んでもらい、多くの感謝の手紙をいただきました。作った関係者にも※注1:やまなし農福連携ロゴマーク※注2:「やまなし手作りマスクプロジェクト」県が障害者施設に布製手作りマスクを発注して買い取り、児童福祉施設や保育所などに提供している事業お手紙を見てもらい、互いに喜び合うよい事業になったと思います。今、取り組んでいるのは、QR決済による重度心身障害者医療費の実質的な窓口無料化です。我々も障害者医療費の実質的な窓口無料化です。我々も知恵の限りを絞っていまして、厚生労働省とも積極的に協議を進めています。私が直接、大臣にお願いしたり、新たな仕組みに必要となる機器を手配できるよう各方面に働きかけを行ったりしています。まだ時間がかかるかもしれませんが、真剣に取り組んでおり、皆さんに早く説明できるよう頑張っていきます。
障害者相談員の重要性
竹内
 障害者の生活を支えている、障害者相談員の制度があります。かつては国の事業でしたが、県を経て市町村に移管されました。以前は100人以上いた相談員ですが、平成30年時点で設置しているのは10市町村のみと聞いています。是非現状を調べていただいて、できれば相談員をきちんと置いてほしい。
長崎
 障害者基幹相談支援センターなどで相談対応を行っていると承知していますが、早速、相談員さんの現状を調べてみます。
竹内
 この相談員は障害者にとって身近なところにいて、何かあれば代行してあげる。あるいは取り次いであげる、そうしたことも相談員の大事な仕事。これらの事を知る為の研修が今まで市町村ではできなかった。これをサポートすることが重要だと考えています。
長崎
 はい、これは重要なことだと思います。
障害者福祉へアクションを
竹内
 災害時の福祉避難所の整備が必要だと感じています。障害者への一人一人の対応の仕方が異なり大変だが、それぞれの障害に沿った対応が求められている。とりわけトイレですが、例えば今のままの避難所ではないでしょうか。
長崎
 福祉避難所の確保も考えていかなければならないと思っています。トイレについても、市町村で用意できるようすぐに働きかけたいと思います。市町村がすぐに用意できないようであれば、県で貸し出せるようポータブルのトイレを備蓄することなども考えていきます。
竹内
 障害者の芸術文化活動を活発にするため、文化展などの発表の機会と場を設けたり、指導者の派遣などを行っていますが、一人で取り組む芸術活動、創作活動へも支援できるよう派遣の仕組みを考えていく必要があります。
長崎
 分かりました、現在の派遣の仕組みがより充実するよう、ご意見を伺いながら、検討していきます。
竹内
 県内には、小林浩太朗君という重度の障害者で、今年亡くなったのですが、絵画や書を通じて自分の夢を追うという創造活動をしてきた方もいます。また、今年90歳で亡くなった全盲の河口竹子さんは「一人でも 生きねばならぬ 茶をすする」という川柳を詠まれたが、これが素晴らしく、句集「生きる」と題して冊子にまとめました。こうした無限にある創作活動の可能性を何とか上手に引き出し応援していきたいと思っています。障害者福祉の中では、“障害者の自立を支援する”というのが一番強い願いだと思います。ご協力をお願いします。
長崎
 障害者の方々への応援は、県を挙げて取り組むべき重要なことだと思います。差別や偏見による壁をなくし、普通に笑顔で接し合えるような山梨になると素敵だと思います。そのためには、障害を持っていない方の心の中にある壁を取り払っていかなくてはいけないですね。
竹内
 やがてはどなたも杖をつくようになります、言ってみれば障害者予備軍で、その時のためにも、障害福祉を充実させたいと考えています。今日はお忙しいところありがとうございました。
長崎
 今日、教えていただいたことをしっかりとアクションに繋げるよう、頑張ります。


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スポーツ指導員の養成講習会を開催

 9月27日・10月3日・4日・10日の4日間、「山梨県障がい者初級スポーツ指導員養成講習会」を、感染防止対策を図りつつ、福祉プラザ及び障害者支援施設きぼうの家にて開催しました。
 講習内容は、障害者の理解・障害者スポーツ施策・障害者スポーツの実習・障害者の方々とのコミュニケーションスキルなど、基礎から応用・実習など幅広く、4日間の全日程を19名が受講しました。
障害者スポーツを支える新たな力になることが期待されます。

障害者パソコンボランティア養成講習会を開く

 本協会では、令和2年10月18日(日)・11月1日(日)・11月15日(日)に「令和2年度 障害者パソコンボランティア養成講習会」を開催し、4名の受講者の方がパソコンボランティアとして登録されました。
当初は6月〜7月の開催予定でしたが、今年度は、新型コロナウイルスの感染拡大のため開催を延期し、当日は検温・マスクの着用・手指の消毒・換気など感染防止に努めて行いました。

県への施策要望

 山梨県障害者福祉協会では、10月29日、竹内理事長、浅野、宮城両副理事長などにより、山梨県に対し令和3年度の障害者施策について要望活動を行いました。
要望事項は、重度心身障害者医療費助成事業の窓口無料化や手話言語条例の制定、県立科学館へのエレベーター設置の他、新型コロナウイルスに関わる要望など28項目にわたりその実現を求めてきました。
 竹内理事長からいずれも生活に根ざした大事な要望であり真摯に検討するよう要望した後、浅野副理事長からは重身医療費のペナルティ分の事業の明確化、また宮城副理事長からは当事者の孤立化が大きな課題になっているなどのお話がありました。
県からは「回答については、実現に向け具体的に検討を進めているものあり、要望の一つ一つをしっかり検討し、年度内にお届けしたい。」との回答がありました。


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山梨県障害者文化展を開催

 11月3日(火)から7日(土)の5日間、県立図書館1階イベントスペースにおいて「第23回山梨県障害者文化展」を開催しました。
今年度から県立図書館に会場が変わりましたが、多くの方にお越しいただきました。また、来場者には新型コロナウイルス感染症対策にご協力いただきました。
(作品点数:861点 参加人数:1401名) 主な受賞者は次のとおりです。
【山梨県知事賞】
書道:小池英二 こいけ えいじ (甲府市福祉事務所)  工芸:東棟 ひがしとう (千代田荘) 絵画:田中千晶 たなか ちあき (甲府市障害者センター) 陶芸:安宅弘子 あたか ひろこ (千代田荘) 手芸:ホープステーション手芸班  (ホープ会) 文芸:河田妙子 かわだ たえこ (きぼうの家) その他:吉川康信 よしかわやすのぶ (富士北麓聖ヨハネ支援センター) 
【山梨県議会議長賞】
書道:矢守守一 やもりしゅいち (峡南保健福祉事務所) 工芸 一木賢恒 いちぎよしひさ (甲斐市福祉事務所) 絵画:チーム火 (おひさま) 陶芸:西棟 にしとう 陶芸班 (千代田荘) 手芸:笹本祐巧 ささもとゆうこう (山角病院) 文芸:原 由加 はらゆ か (オアシスやまなし結) その他:清水久雄 しみず ひさお (甲斐市福祉事務所) 
【教育長賞】
絵画:宮木さくら みやき (山梨大学教育学部附属特別支援学校) 絵画:小倉大知 おぐら たいち (ろう学校) 工芸:平井綾人 ひらい あやと (わかば支援学校)
【理事長賞】
 書道:保坂 直 ほさか なお (忠恕会)  工芸:ほたりんチーム (キッズステーション) 絵画:赤羽節子 あかば せつこ (大月市福祉事務所)  陶芸:K's けーず (北病院) 手芸:天野洋子 あまの ひろこ (大月市福祉事務所) 文芸:荻窪たき子 おぎくぼ (富士吉田市福祉事務所) その他:巨摩チーム こま (巨摩共立病院)

第7回 山梨県障害者芸術・文化祭を終えて

 山梨県障害福祉課 課 長 古澤善彦 ふるさわよしひこ 
 令和2年11月6日(金)、11月7日(土)の2日間にわたり、「第7回山梨県障害者芸術・文化祭」を開催いたしました。実行委員の皆様をはじめ、御支援と御協力をいただいた多くの関係者の皆様に、心から感謝を申し上げます。
7回目となる今回は、新型コロナウイルス感染拡大の影響から開催規模を縮小し、様々な対策を行いながらの実施となりました。前回から引き続き「共生」をテーマとし、御参加の皆様が共に楽しみ、喜び、お互いを理解し合うことを目指し、会場づくりなどに取り組んで参りました。
物品販売は、甲府駅北口よっちゃばれ広場にて、時間を短縮して1日のみの開催となりましたが、本年度は事前予約注文を可能にしたことで販売がスムーズに行え、密になることなく多くの方に楽しんでいただけました。
また、歌やダンス、楽器演奏などの舞台発表を、無観客によるオンライン配信で行いました。
当日の生配信のほか、県ホームページ等で随時視聴できますので、まだご覧になっていない皆様には、ご覧いただければと思います。
県では、誰もが社会の一員としてお互いを尊重し、支え合って暮らす「共生社会」の実現のため、今後も障害のある方の文化芸術活動を積極的に支援し、自立や社会参加、障害への理解促進に取り組んで参ります。
適切な感染防止対策を講じつつ、このような発表、鑑賞の機会の確保に努めて参りますので、皆様の一層の御理解と御協力をお願いいたします。


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第31回 障害者の主張大会を開催

 12月9日(水)、山梨県防災新館において「第31回障害者の主張大会」を開催しました。
入場制限の大会となりましたが、5名の方が自身の思いや夢、希望を主張し、会場からは盛大な拍手が送られました。
最優秀賞:梶原悠汰
優秀賞:田川椰々
特別賞:吉田沙緒里
努力賞:木内孝明 関根ふじゑ
<一筆(ひとふで)の主張>
 「一筆の主張」は主張大会に併せて、より取り組みやすい「詩」と「川柳」を募集したもので、今年で5回目になります。 詩は8篇、川柳は83句の作品が寄せられました。入選された方々を紹介します。
【詩の部】
(入選3篇 佳作1篇)
入選1位『五月の朝』市村 未央
入選2位『命と自由』する(ペンネーム)
入選3位『私は今年六十二歳』河田 妙子
佳作『母へ』望月ともこ
【川柳の部】
(入選7句 佳作3句)
入選1位「老いてなほ苦楽を共に杖と妻」佐野薫
入選2位「幸せも不幸も同じ鍋の中」乙黒初音
入選3位「白杖の歩行広げた生活圏」埜村和美
入選4位「後の月世情不安をまろめ置く」堀内孝春
入選5位「年越しの蕎麦打ちたりし母は居ず」伊東一敏
入選6位「年金が老いの食費を打算させ」後藤正夫
入選7位「年金の支給日だけは妻元気」木内孝明
佳作「マスク顔誰も同じに見える日々」和久
佳作「盲導犬バスの中でも役果たす」雨宮和夫
佳作「まだ動くこの手この足感謝です」一ノ瀬清子
(最優秀賞)障害と向き合い、生きていく
梶原悠汰 かじわらゆうた
 自分の体のことは自分が一番知っていると多くの人が思っている。私もそうだった。私の障害は「統合失調症」という精神疾患だ。
発症してから現在まで約8年。今でこそこの障害を受け入れ、これからの人生を生きていこうと前向きにとらえているが、「統合失調症」という診断をされるまで、私はこの障害の名前すら聞いたことがなかった。
私の場合、主な症状は幻聴と被害妄想だ。自分をひどく罵倒する声。「あいつは頭がおかしい」「異常だ」さらに言えば、ここでは記せないような汚い言葉が聞こえた。
また、テレビやラジオの人が自分の名前を呼び、「自分は監視されている」そのような妄想が頭に思い浮かぶ。
家にいても、どこかにカメラがあり世界中に自分の映像が流れている。誰かに命を狙われている。症状が一番重かった時は、家の中で暴れ、ベルトで首を締め付け自傷行為をした。
もう自分一人ではどうしようもできなかった。そんな時、私を助けてくれたのは一緒に住んでいた両親だった。
ネットで必死に情報を集め、病院や保健所を探してくれた。病気になってから現在まで、不思議な言い方かもしれないが、私は恵まれていると感じている。そう思えるのは、この障害を抱えてから関わってきた周りの人達のおかげだ。両親がこの障害を理解してくれなかったら自分も障害を受け入れられなかった。現在でも両親は最大の理解者でいてくれている。
もう一つ私が感謝しているのは、ワークピア河口湖の人達だ。事業所では、利用者の自己肯定感や社会性を育むため、公文学習や「選択理論」という心理学を用いた人との関わり方を学べる。
また、無農薬野菜を使った健康的な給食で食育を中心に行い生活習慣の改善も図れる。作業内容も、農作業や自然の中で体を動かす仕事が多く気持ちもリフレッシュし、心身共に状態をよりよく安定させてくれる手厚いサポートで私の症状も良くなった。
私は、畑のリーダーとして全般をまかされ企業への実習も行い、就職に向け頑張れている。
支援を受けていく中で、自分を変える機会を与えてくれたことはとても助けられた。簡単に言えば、私は「前向きに考える方法」を知ることができた。人生の中で障害があるなしに関係なく誰でも気持ちが沈み、落ち込む時がある。目の前に大きな壁があり、苦しみを感じる。その壁を乗り越え生きていくことができる人もいる。
では、壁を乗り越える、打ち破る「力」がない人はどうしたらいいのか。今、生きている道で壁(困難)を感じている。私の場合は精神障害だ。どうしても自分が良くならない。「なんで自分がこんな病気に」「どうして自分だけが」。そんな時、私はこう考える。「確かにこの障害で苦しいこともある。でも自分は同じ障害を持つ人の気持ちが分かってあげられる」と。前に進む道がふさがれているのなら、考え方を変え横に進める道を探す、壁を乗り越える「力」がないのなら、その壁に、「はしご」をかける。
はしごを登る時、人は下を見ずに常に上を向いて登っていく。心に前を向いて歩けるようにする「きっかけ」を作っていくのだ。
暗闇があるからこそ光を感じられる。苦しみは強さに、悲しみは優しさに変えられる。私には今、目標がある。「精神保健福祉士」という資格の取得だ。
自分と同じような精神障害で苦しんでいる人達の生活を少しでも改善してあげたい。その人の背中をそっと支えられる人間になりたい。心に寄り添い続け、障害と向き合い私はこれからの人生を生きていく。

編集委員会

委員 田端 康三 山梨県手をつなぐ育成会
委員 原 庚徳 山梨県身体障害者連合福祉会
委員 川ア 博史 山梨県精神障害者家族会連合会
委員 角田 貴弘 山梨県視覚障がい者福祉協会
事務局 橋 充幸 山梨県障害者福祉協会
印刷所 亀山 輝喜 有限会社 藤屋紙工

この広報紙は、一部共同募金の配分金によって発行されています。