令和6年度 障害者福祉に関わる施策要望   1 重点要望項目 項目1 障害者幸住条例の理念に沿った施策の推進について 要 望内容 改正障害者幸住条例が施行されてから既に7年目を迎えているが、不当な障害者差別の禁止、県など行政機関における合理的配慮の提供義務、事業所における合理的配慮の努力義務など、私たちにとっては大変頼もしい理念が規定されている条例だが、この理念の具体化と社会への浸透は未だ充分とは言い難い。  相談体制が確立されたことは1歩前進だが、視覚障害者が日頃直面している移動環境の改善や情報環境の改善などはそれほど進んでいるとは思えない。私たちの要望のほとんどは、条例の理念の具体化が進めば解決されるものであり、本条例が名実ともに真の意味での共生社会到来への大きな原動力となるよう、県の積極的な施策の推進をお願いする。  また、2021年6月に改正された障害者差別解消法を受け、事業所における合理的配慮を「努力義務」から「義務」へと改正をすすめるとともにその周知徹底をお願いしたい。 要望団体 山梨県視覚障がい者福祉協会・山梨県身体障害者連合福祉会・山梨県障害者福祉協会 回答 県では、合理的配慮の提供など障害者差別の解消に向けて、障害者幸住条例に基づき設置した「山梨県障害者差別解消支援ネットワーク会議」において、障害者差別に関する情報を共有するとともに、構成員の障害者団体や事業者団体、国や県の関係機関等が一体となって取組を推進しておりますが、来年度は、この会議を活用して、県内の主たるスーパーやコンビニの地域本部、商工会などと障害者団体とが、合理的配慮について協議し相互理解を図る機会を設けて参ります。 また、障害のある方に寄り添った相談支援を行う「障害者差別地域相談員」を全市町村に、その業務を支援する「障害者差別解消推進員」を県に配置するなどの体制整備や、その他にも、障害者の主張大会、学校での障害に関する福祉教育、県政出張講座などを引き続き実施して参ります。  更に、本年度は、令和6年4月1日施行の障害者差別解消法の改正に伴い、事業者における合理的配慮の提供が義務化されることから、要点をまとめたリーフレットを作成し、商工団体等を通じて事業者への周知活動を行ってきたところですが、来年度も引き続き事業者への周知を進めて参ります。  なお、障害者差別解消法改正に伴う山梨県障害者幸住条例の改正については、障害者団体等からの御意見を伺う中で改正することとし、令和6年4月1日施行の運びとなりました。 項目2 障害者本意の「重度身心障害者医療費助成制度」の実現について 要望内容 このことについては、既に還付方式による償還払いが定着しているが、現在、県によって、「電子版かかりつけ連携手帳」と連携したスマホ決済システムが、一部の地域と県立中央病院、及び山梨大学付属病院によって試験的に行われているものの、利用者の一時的な経済負担と手続きが増えたことは事実である。  また、障害者の就労環境は未だ厳しく、その大多数が低所得者であるのに加え、その多くが長期療養を要する疾患を抱えている実態を考えると、やはり窓口無料制度に勝るものはない。  今後も、日身連や日視連を通じて国へ重度身心障害者医療費窓口無料の制度化を粘り強く訴えていく所存であるが、県でも同様の働きかけを国に対し積極的に進めていただきたい。  いずれにせよ、窓口無料化が実現するにはかなりの時間を要すると考えられ、それまでの間は、ペナルティーの補填に充てていた財源について、障害福祉の充実に全面的に振り向けるとした制度変更時の確約に基づき、障害者福祉施策の内容を毎年開示していただくよう併せてお願いする。 要望団体 山梨県腎臓病協議会・山梨県視覚障がい者福祉協会・山梨県身体障害者連合福祉会・山梨県障害者福祉協会 回答 本県の重度心身障害者医療費助成制度は、精神障害者福祉手帳2級の方や身体障害者手帳3級の方までも対象とし、自己負担分の全額を助成しており、全国的にも数少ない充実した制度となっております。 令和3年10月から、国民健康保険における国庫負担金の減額措置の回避と利用者の窓口負担の軽減を両立させるため、電子版かかりつけ連携手帳を活用した電子決済モデル事業を実施しておりますが、今後もより多くの方が参加できるよう対象病院の拡大などにも取り組んで参ります。 併せて、窓口無料の制度化についても全国知事会を通じて引き続き国へ要望していく予定です。  なお、自動還付方式への移行後(減額措置の回避以降)、新たに次の事業を実施しております。  ・小児リハビリテーション診療所の運営  ・高等支援学校桃花台学園の運営  ・精神科救急医療(24時間体制)の運営 など  更に、来年度は、重度の障害者向けサービスの地域偏在の解消や、障害者の文化芸術活動の充実、就労支援施設で働く方々の工賃向上のため、新たな事業に取り組んでいくこととしており、 引き続き、本県における障害者福祉の施策の充実に向け、しっかりと取り組んで参ります。   項目3 パラスポーツの拠点の整備について 要望内容 障がい者のスポーツに対するニーズは年々高まり、スポーツ人口も増加している。また、全国障害者スポーツ大会の開催は、共生社会の実現に向け大きな役割を果たすものと期待が寄せられている。  こうした中、山梨県青少年センターがパラスポーツの拠点として整備されることは、時宜を得た取り組みであり、歓迎をするものである。  そこで、障害者スポーツセンターの整備にあたっては、誰もが使いやすい施設とするため、以下の条件を備えるよう強く要望する。  @障がい者が優先的に利用できること  A安心して利用できるよう、様々な障がいに応じたきめ細かな配慮がなされていること  B各障がい種別に特化したスポーツ設備や器具が整備されていること  C視覚障害者にも利用しやすいよう、移動環境に特化した送迎車が確保されていること。  D適正な指導員が配置されていること  E障害者でなくても利用しやすい名称とすること 要望団体 山梨県障害者スポーツ協会・山梨県視覚障がい者福祉協会・山梨県障害者福祉協会 回答 @障害者が優先的に利用できる施設運営を進めて参ります。 A障害者団体の方々からご意見を伺いながら、バリアフリー、ユニバーサルデザインの考え方を十分に取り入れた整備を進めております。 Bクラウドファンディングの制度も活用しながら、それぞれの障害に応じ、スポーツを楽しむことができる器具等の整備を進めております。 C福祉や教育分野などの関係機関とも連携しながら、どのような支援が可能か検討して参ります。 D施設が運用される際には、パラスポーツ指導員を配置することを検討しております。 Eパラスポーツは、近年、障害の有無にかかわらず取り組むことができるスポーツを意味するようになっていることから、施設の名称は「やまなしパラスポーツセンター」とさせていただきます。今後もパラスポーツの普及を一層進めるとともに、多くの方々に利用していただける施設運営に努めて参ります。"