【審査員からの講評】 〜選を終えて〜 大事な気付き   審査員 竹内冬眠 「だんだん能(よ)(良)く為(な)(鳴)る法華(ほっけ)の太鼓」という地口(ぢぐち)がある。叩き馴れてくると太鼓の音色が、序々によくなってくるという意味だが、何事も飽きずに、怠りなく継続すれば必ず良い結果が出ることを言っている。今回寄せられた作品は、まさにこの地口通りの嬉しい状況となっている。 【川柳の部】 入選1位 「投げ返す石を握ったまま老いる」  乙黒初音 >評<  カミソリの刃(は)のように鋭利な感性と不動の立ち居に愕(おどろ)いた。「老いの一徹(いってつ)」ではなくて我慢をしっかり超えた老いの英知。この作者には、「ひっそりと冬木が夢を抱いている」という佳句がある。 入選2位「見守られ 生かされている この命」  春夏秋冬 >評<  表現の月並が、下5の切り句でキリっと締まっている。 入選3位「声かけが 事故を未然に 防ぐ街」  埜村和美 >評<  川柳というより標語に近い句景だが、視覚障害者にとっては、現今の重い課題。 入選4位「伝わりし 母のぬくもり 大きな手」  伊東一敏 >評<  温かい「大きな手」の実感が伝わる。 入選5位「足るを知る 年金生活 楽じゃない」  大森雄山   >評<  笑いとばしては見たものの、現実はきびしい懐(ふところ)具合。 入選6位「元気だね いわれてそっと 背を伸ばし」  石倉聰子  >評<  これぞ川柳の真骨頂。自分ではそのつもりでいても、自信なかったが、他人から言われて、「そうかな」と首を伸ばした。 入選7位「墓場まで 持って行きたい 隠し事」  天野裕一 >評<  だれにでもあることながら、こうしてズケズケと言えない思い。多分、そっと呟(つぶや)いてみただけ。 佳作 1 「くさばながめぶきはじめてはるうらら」  ツルッタ >評<  説明不要、簡潔明瞭がいい。 佳作 2 「綿虫のさまよひ飛ぶを見失う」  羽村茂 >評<  川柳というより俳句の境地。 佳作 3 「ずくがねえやせっていこんいっちょし」  チューオウツネチャン >評<  甲州弁が利いている。 折れたるは 折れたなるまま 咲く秋桜の花 小池 英二 時が過ぎ いろいろもがき 生きたいと 星空 龍李 障害を ばれないように 生きている 星空 龍李 応援が 時にはつらい 心情に 星空 龍李 見えずとも 手の眼差しが 気をほぐす 穴水 公一 人と会い 道端辛い 車いす 穴水 公一 車いす 押してください 愛の手で 穴水 公一 安い詩と 嗤(わら)うあなたは 見切り品 ゆちゃを、 休日や 小鳥のさえずり 朝寝かな 渡辺 よ志江 愚痴こぼす 奴に聴く奴 酒仲間 宇佐美 新一 旅龍にて 地酒に酔うは 至福なり 宇佐美 新一 目が据わり はたまた泣きの 酒上戸 宇佐美 新一 紅葉狩り 真紅に燃えて 見る葉よと 真っ赤に染まる 色いできかな 渡辺 あき 神のみぞ 誠を唄う 調べかな 啓斗 お不動様 私の邪心 戒めん 啓斗 みなかぬし 美しき我が姫(き) 我らの希望 啓斗 つまずきし 石のひとつを 放り投げ おか たける リハビリか 鴉(からす) 塔よりダイビング おか たける 二度までも 酔って電車を やりすごし おか たける 命の輪 みんなでつなぐ 温かさ 春夏秋冬 助け合い 支えられてる うれしさや 春夏秋冬 見守られ 生かされている この命 春夏秋冬 きっとくる 優先席に 座れる日 廣瀬 昭美 わからない? 心の扉 開けてみて 廣瀬 昭美 障害も 皆(みな)で支えりゃ 恐くない 廣瀬 昭美 チラシ描く 小指にEnterキーの音 和久 水害が 流れるテレビ 我立てぬ 和久 還暦を 百円ケーキで 祝う夜 和久 雨漏りの 母の点滴 思い出す 大森 雄山 書初めや 空と海とで 空海だ 大森 雄山 足るを知る 年金生活 楽じゃない 大森 雄山 この病気 アパートぐらし ひとこいし 山下 文男 木犀の ほのかな香り なつかしき 中澤 良子 古郷を はなれて思う 秋の日に 中澤 良子 いつまでも 一緒にいると 思ってた 中澤 良子 センターの 陽の沈む頃の 静けさや 大村 憲雄 アパートで 一人静かに 物思う 大村 憲雄 夕陽の沈む帰り道楽しさや 大村 憲雄 駅ホーム スマホ見ないで 周り見て 埜村 和美 白い杖 わが個性だと 誇り持つ 埜村 和美 声かけが 事故を未然に 防ぐ街 埜村 和美 白い紙 りんご絵の具で かいてみた 赤羽 節子 ステップで ダンスルンルン「青い山脈」 赤羽 節子 さつまいも シャベルもみんなも 泥だらけ 赤羽 節子 優しいデイの温もりで冬を越す 後藤 正夫 肉声を 聞きに来るデイ 話しもしたい 後藤 正夫 元気よく 挨拶出来ると 自分も嬉し 後藤 正夫 支えよう 健常者も やさしい手 里吉 洋 一歩ずつ 募金活動 みんなの思い 里吉 洋 降ひょうで 車の屋根に 跡がつく 堀内 茂 彼岸すぎ 暑さも少し おさまるか 堀内 茂 夕立で 大きな規模で 停電だ 堀内 茂 お昼寝は 認知症にも 効果的 天野 裕一 墓場まで 持って行きたい 隠し事 天野 裕一 家持つか 子供作るか 選ぶ時代(とき) 天野 裕一 天高く 輝く山は 富士の山 矢嶋 賢二 秋の空 輝くひとみは ランランラン 矢嶋 賢二 大空に 飛ぶ鳥一羽 トンビかな 矢嶋 賢二 デイケアで 作ってくれた 落花生 白須 美代子 冬籠り 炬燵に入り 蜜柑食べ 中田 昌宏 甘酒や 母の手作り 喉温む 中田 昌宏 冬味覚 南瓜旨し 冬の膳 中田 昌宏 レジ待ちで 先にどうぞと 促され ミッチー 言わないで お先にどうぞ レジ待ちで ミッチー レジ待ちで 先にどうぞ 言わないで ミッチー 独学で 精神年齢 もちあげる 加々美 正美 他人を見 まともにみえて 病気持ち 加々美 正美 幻聴も 時にはやさしい 心妻 宮沢 俊夫 入院も 長きにわたると 天国だ 宮沢 俊夫 退院の 夢を祈って 薬のむ 宮沢 俊夫 高次脳 叱咤するあなたは 高年齢 流石 忠士 元気だね いわれてそっと 背を伸ばし 石倉 聰子 夢うつつ 行ってみたいな 夫(つま)の国 石倉 聰子 名を呼ばれ 息子は逝った 永遠の旅 石倉 聰子 投げ返す石を握ったまま老いる 乙黒 初音 ひっそりと 冬木が夢を 抱いている 乙黒 初音 老いてゆく 母の生きざま 冬もみじ 乙黒 初音 私にも 子供がいたら 変わる道 山田 花子 生きてると 心が沈む うつの道 山田 花子 罪深し 還暦すぎの 別れ道 山田 花子 前向きに 生きて仲間と おつきあい 一ノ瀬 清子 長い夜 きっと朝がくる 希望もち 一ノ瀬 清子 苦労坂 いつになったら 楽になる 一ノ瀬 清子 秋なかば 隣の柿が おいしそう KYOKO しょうが湯の あま味とから味 マッチして なおなおおいし 眠りをさそう KYOKO 先生よ オナラが気になる 薬くれ 食事中では 恥ずかしいなり KYOKO 伝わりし 母のぬくもり 大きな手 伊東 一敏 われはもう 気が付いてみれば 高齢者 伊東 一敏 パラ五輪 期待ふくらむ アスリート 伊東 一敏 クラスリレー ぶつかりあった 青春だ 田草川 祐基 校庭で 最大行事 3150(サイコー)だ 住吉 愛弥 青夏の下で 仲間と協力した 最高だった 鎭目 昇吾 もう嫌だ 走りきった 学園祭 小林 さくら リレー後の 笑顔満載 友の顔 藤原 喜弥 出来ないことが増えて愚痴こぼす 小笠原たい子 杖だけで 階段あがれた 今は無理 小笠原たい子 買い物で ストレス発散 満足だ 小笠原たい子 俺のロマン ロードスターで ドリフトだ スーパースター プロ野球 オールスターが 始まるよ スーパースター 来年は 横浜行こう 楽しいよ スーパースター できうれば 行きたかったな バスレクに アタックナンバーワン ハピアには ゆかいな仲間が せいぞろい ズンドコK 来年も 七夕祭り 行きたいな ズンドコK 春が来た 花粉症が つらすぎる ズンドコK 春が来た あたしもイヌも 花粉症 プリンセス・エミコ ハピアでは 度胸だめしだ 名司会 プリンセス・エミコ 宝くじ 今日も明日も 夢をみる プリンセス・エミコ バレンタイン 自分にごほうび まっちゃチョコ ひろちゃん えてがみが うまくかけない くろうする ひろちゃん なつが来た アイスクリーム 食べるとき ペコ 好きな人 バレンタインで 告白だ ペコ 夢につき 考察したら 書きにくい ペコ きょういない まいにちいない さみしいな ごいけんばんセブン うみにいく およぎたいけど かなづちだ ごいけんばんセブン ギリチョコを くばったけれど たべたかな ごいけんばんセブン あついなつ やすみたいけど やすめない Hi ハピア杯 優勝目指し 頑張るぞ M・T バスのなか けしきがきれい たのしいな M・T ひなまつり あまざけのんで かおまっか たんぼの島 チョコほしい 糖尿病で たべれない たんぼの島 ハピアには 美人のあねごが いっぱいだ たんぼの島 まいつきの がいしょくいくの たのしみだ ツルッタ いつのひか だいがくきょうじゅ なりたいな ツルッタ くさばなが めぶきはじめて はるうらら ツルッタ やっちょしと いわれてやって おこられる おむらし 義理でいい 本命なんて ぜいたくだ おむらし 川柳が おもいうかばず ひとくろう おむらし 花よりも だんごよりも ビールだな おとやん あたたかな 春の陽射しが 心地よい おとやん 盆踊り ちょっと踊るが はずかしい おとやん カレンダー 2月のなかば 梅まつり もっちゃん 時代劇 松平健 大ファン もっちゃん 夏の夢 プールでおよぐ セミをとる もっちゃん ハピアでは いつもみんなが いいかんじ なお 母と姉 大切にする それが夢 なお バスのなか クイズ大会 かんとうしょう なお めがさめて たのしいことを ゆめにみる チューオウ ツネチャン ずくがねえ やせっていこん いっちょし チューオウ ツネチャン 自分チョコ コンビニで買い 満足だ チューオウ ツネチャン 一口で 切ない風味 チロルチョコ しらがのカメラこぞう 散りぎわの 桜吹雪を とるカメラ しらがのカメラこぞう プログラム だっちもねーこん 考える  しらがのカメラこぞう もおだめど つかれるじゃんけ やすもうど しょうそんベン さくらみて うきよのかぜが ぬくといな しょうそんベン たべたいな もらえないので かってくう しょうそんベン ひとりごと うちのかぞくに あいたいな Nマーク カンビール さくらのしたで えんかいだ Nマーク ほうそうし ひろげたら アラ チョコでなし Nマーク 朝が来てOT始まりホットコーヒーを飲んで一日始まります 羽村 茂 綿虫の さまよひ飛ぶを 見失う 羽村 茂 綿虫を手にうけこれからどうなるかを心配す 羽村 茂 お金持ち 貧乏人の 世の常か 今福 和人 空襲を 受けずに京都 良かったな 今福 和人